satoyamanekokunのブログ

猫たち、お酒、山に虫、神社仏閣、全くまとまりのないブログですいません。

お酒の話(1)

「幾山河 超えさり行ば 寂しさの 終なむ国ぞ 今日も旅ゆく」

1907年若山牧水が、岡山から広島に向かう途中で作った詩です。
この詩を口にすると自分は、前方が開けた晩秋の峠道が目に浮かびます。
若山牧水は、自然と旅とお酒を愛した詩人で有名ですが、佐久地方にも度々訪れて有名な詩を残されています。

「白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしづかに のむべかりける」

この有名な詩は、若山牧水が1922年佐久ホテルに逗留されているときに詠まれた詩であったことを最近知って驚きました。
佐久ホテルさんは、1428年 室町時代創業の長野県一の老舗旅館で「佐久鯉発祥の宿」としても有名です。年表を拝見すると、小林一茶葛飾北斎島崎藤村北原白秋種田山頭火という方々がご滞在されたことでも有名です。

今年は佐賀県の豪雨災害に続いて、台風15号台風19号が甚大な被害をもたらしました。千葉県では2度被災された方々もおられるということですので、謹んでお見舞い申し上げます。

長野県のこちら東信地方もあの日、一日で500㎜を超える雨が降り千曲川の支流が至る所で氾濫しました。そして本流の千曲川に支流の水が集まっていったので、長野市 穂保では雨が止んでから堤防が決壊してしまいました。


信濃毎日新聞」より

東日本大震災でも気持ちはあったのですが、遠かったためなかなか一歩を踏み出せないでいたのですが、今回はすぐ地元でも被災された家がありましたので、可能な範囲でボランティア活動に出かけていきました。

若い方達と一緒に土を運んで汗かいて、一緒にお昼ご飯いただきながら話して何とも清々しい気持ちになりました。それと同時に、日本の政治の行方は何とも怪しい方向に進んでいますが、ボランティアに参加している若い人達を見ていたら、「日本はまだまだ大丈夫、頑張ろう」という気持ちになりました。

そして、今もなお避難所で生活しておられる被災者の方々には、一日も早く平穏な生活に戻れますようお祈りいたします。

話があちこちになってしまいますが、こちらの詩は1925年 若山牧水佐久市立岸野小学校に立ち寄られたときに詠まれた詩です。

「わか竹の 伸びゆくごとく 子どもらよ 眞すぐに伸ばせ 身をたましひを」

この詩は、1960年に岸野小学校の校歌に制定されました。日本で一番短い校歌だということです。


佐久市立 岸野小学校にて

「ひとの世に たのしみ多し 然れども 酒なしにして なにの楽しみ」

この詩は、若山牧水が何処の地で詠われた詩であろうか。何と佐久市のホームページを閲覧していると、同市内の仙緑湖にこの歌碑があるということです。

仏教ではお酒というものは、あまり良いイメージがないもののように思われているようですが、日本古来の神道では神様にお供えする神聖な飲物です。その歴史は古く、弥生時代までさかのぼります。

新海 誠監督のアニメ「君の名は」で、
主人公の「三葉」が神社の縁日で巫女として、「口噛ノ酒」を造っているシーンがあります。弥生時代は「刀自」て言って、家事を取り仕切る女性がこの「口噛ノ酒」を造っていたということです。この「刀自」が現在の「杜氏」と呼ばれるようになったということです。

今のように酵母や麹があった訳ではないと思いますので、炊いたお米を口の中で噛みむことによって、唾液の中の酵素でやや糖化したお米が野生酵母によってアルコール発酵を促したのですが、今のように飲むというよりは、お箸で食べるようなものだったようです。

そして奈良時代には「酒の司」という役所が設けられ、麹を使って本格的な酒造りが行われたということです。

江戸時代のお酒はミリンのように甘かったということですが、甘いものが貴重な時代なのでそれは格別なものだったようです。

自分もお酒は好きです。10年ほど前に
「利き酒師」の資格も取りましたが、認定証をどこかにしまい忘れてしまいました。

当時は朝もかなり早起きして勉強して試験に臨んだのですが、今ではすっかりお返ししてしまいました。

会報と一緒に、こんなステッカーが送られてきたこともありました。

秋なると「ひやおろし」という言葉を耳にしますが、この意味は冬搾ったお酒を秋まで涼しいところに貯蔵して、出荷するというものです。貯蔵中に香味がまろやかになり、熟成されて味わい深くなるということです。
先日、娘と一緒に上田市立美術館に「東信地区 高等学校美術展」を見に行きました。娘も初めて画いた油絵を出展していました。


娘の油絵「力」

昨年は佐久市立近代美術館で開催されましたが、今年の作品は更にみなさん磨きがかかって力作ぞろいでした。娘も提出期限近くには、土・日も返上して学校に行って仕上げていました。

娘たちは一人一人公表してもらっていたので、かなり時間がかかるようです。別の部屋の個展も見学させていただきたいてもまだ時間があったので、隣のアリオで宝くじを買って、食品売り場に行きました。

さすがに上田まで来ると、並んでいるお酒の種類も違いますので、この時期だけ味わうことのできる一品を探そうと思ったのですが、それでもかなり迷った末、白龍酒造株式会社さんの「ひやおろし」と一言入ったこちらの1本を選びました。上品な香りにクセがなく、とにかく喉越しが良くてすっきり美味しいお酒です。お酒には醸造元の思いがこめられていますので、自分のコメントと食い違う部分がありましたらお詫びを申し上げたいと思います。

ひやおろし」という言葉の語源は、貯蔵前に殺菌のための「火入れ」をして、2回目の「火入れ」をしない「ひや」と呼ばれる状態で貯蔵し、秋になって卸されるため「ひやおろし」と呼ばれるということです。貯蔵庫内の温度と外気温が同じになった頃が出荷の目安ということで、その時期が10月頃ということです。10月1日が「日本酒の日」というのも理屈に合っている気がします。
近頃では、9月には既に店頭で見かけることが多いようです。

そして最近では、スキー場の雪の中に貯蔵しておくものや湖底に沈めておくものに、ダムに貯蔵しておくものなどがあり、時代ともに貯蔵場所も様変わりしているようです。
今は日本中の酒造会社さんがしのぎを削って美味しいお酒を造っています。自分は美味しいものにランクをつけるということが嫌いです。それぞれのお酒に良さがあり魅力があるからです。自分が印象に残った銘柄やこの時期いただきたいお酒を記録として残しておきたいので、この記事を作っています。

こちらのお酒はアルコール度数19度で度数は高いですが、まろやかでしっかりと美味しいこの時期限定のお酒です。武重本家酒造株式会社さんの「ダム内生熟成」です。

ベースとなっているのは、こちらの「蔵内 生熟成」だと思いますが、微妙な貯蔵条件の違いを感じながら、飲み比べてみるのも楽しいと思います。


こちらは千曲錦酒造株式会社さんの活性純米生原酒「搾ったまんま」です。無濾過、無加水で更に火入れをしない文字どうり生原酒です。アルコール度数17度と高めですが爽やかなフルーツのようで尚かつ深みのある美味しいお酒です。

またこの時期に購入して、冷蔵庫に保管して置いたものを暑い季節にいただくのもまた良いと思います。自分は今年の正月が過ぎてから購入した1本を、大切に冷蔵庫にとっておいて勿体なくて封を開けられないでいたのですが、先月の誕生日に美味しくいただきました。

「日本で一番小さい酒蔵」という 戸塚酒造株式会社さんの「しぼりたて」という銘柄です。季節限定で年末に店頭に並びますが、ツヤのある淡い琥珀色の中身と相まって、まさに「しぼりたて」の美味しさを感じることができると思います。年末年始に一度はいただきたい一品です。

日本で一番名の通っているという、諏訪市の宮坂醸造株式会社さんの「真澄 純米吟醸 原酒 あらばしり」という銘柄です。毎年発売日を楽しみにしているファンも多いということです。この蔵で真澄の発酵中の醪から、極めて優れた性質の酵母が発見され「醸造協会酵母7号」と命名されました。この酵母は通称「7号酵母」または「真澄酵母」と呼ばれ、またたく間に全国の酒蔵に普及すると同時に真澄の名が全国に広がったということです。

神道でお酒は、日本の神々と私たちをつなぐ大切な存在です。そして神様と一緒に飲むお酒、それが日本酒だということです。
そしてまた、この時期だけの季節限定の美味しいお酒も店頭にお目見えしますので、美味しく楽しくお酒をいただいてみたいと思います。