出現「でえらんぼう」(3)

 

 

 この童話の次話を投稿いたします。小説家になろう」または「小説を読もう」というサイトにも投稿していましす。盗作を掲載していると思われてはいけないので、双方の作者が同一人物であることをご承知おきください。

 

 

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               「山火事」           

             

   あくる年の3月も終ろうとしているころでした。宗一の村は大騒ぎになっていました。

 東風に乗って、こげくさい臭いと煙があたり一面にただよっています。山火事です。

 

 大人たちはクワやスコップを持って、東を指さしては煙のくる方角にむかって行きました。

 山火事は乾燥したススキの野原に燃え広がり、勢いづいてアカマツやカラマツ、サワラなどの針葉樹にも燃え移って、バリバリと音をたてて大きな炎がユラユラと上がっています。

 

 宗一の村はこの山火事の風下なので、村人たちは何としても火を消そうと必死なのですが、なにしろ火の勢いがはげしくて容易には近づくこともできません。

 

 宗一はいつもキノコ採りに来る、家のすぐ北西にある山に登って、山火事のおきている山の方を向いて目をつぶって、両手を合わせてあの大男が来てくれることを何回も何回も心の中でお願いしていました。

 

 煙とこげくさい臭いがますますはげしくなってなってきました。すると、山の神様の祠のある北の方から「ドシーン、ドシーン」という地響きが伝わってきました。宗一はとっさに「きてくれた」と思いました。

 

 大きな地響きはどんどん近づいて、宗一の後ろ辺りでピタリと止まりました。

 宗一は目を開けて後ろを振り返ると、あの大男が宗一を見下ろして立ってましたが、宗一が大喜びで両手を高くあげると、大男はニコッとしてうなづくと宗一の両腕をつかんでヒョイと右の肩に乗せてくれました。

 

 大男の肩の上から宗一は、東の方角を指差した。大男は宗一が指差した方角を見ると、山火事はススキの草原を黒く焼きつくして、周りの木を燃やしながら宗一の村の方に迫っていました。

 大男は宗一の顔を見て、一回「ウン」というようにうなづくと、急いで山火事の起きている方角にむかいました。

 

 村の男衆がクワやスコップで必死に土を盛っているところまで来ると、宗一を煙のこない北の山のてっぺんに降ろしました。大男は村の男衆の前に行きました。男衆はおどろいて転がるように村の方に逃げだすものや、その場に尻餅をついて動けなくなってしまう者もいました。

 

 大男は「すまない」というように大きな両手を合わせると、今度は両手を開いて「下がってほしい」というように手に平を少しつきだしました。

 そして、大男は火の手の上がっている方をにらみました。右手の方の山にある大きなサワラの木を二本両手でわしづかみにすると、思いきり引き抜こうとしました。地面に太い根が現れるとバリバリと音をたてて大きなサワラの木は抜けました。

 

 大男はそのサワラの木をしっかり握りしめるて西に進むと、去年の秋、大きな岩を持ち上げて尻餅をついた時できたひょうたん型の池の前で止まりました。

 大男は両手に持っていた大きなサワラの木をそのひょうたん型の池にザブザブとつけると、急いで火の手の上がっているほうに向かったのです。

 

 そして、水につけたサワラの木を高く持ち上げると、まだ燃えていない生木をなぎ倒しながらほ炎をたたきつけるように消していきました。大きな火の粉が大男の頭や腕、背中にバラバラと落ちてきましたが、まったく気にするようすもなく火を消していきました。

 

 大きな焼け野原をのこして、山火事は消えました。さすがの大男もハアハア息があらくなって前に倒れるようにヒザをついてしまいました。

 宗一が大声で「だいじょうぶかい」と聞くと、大男は宗一のいるとなりの山の峰に腰をおろしました。

 

 そして、宗一が大男の顔を見ると、モジャモジャのヒゲにまゆ毛はチリチリにこげていて、ボサボサの髪の毛には大きな穴がいくつもあいていたのです。ほっぺたは赤黒く光っていました。

 顔を見合わせた二人は、おかしくて吹き出すと同時に思いきりワハハハハとお腹をかかえて笑いました。幸い村人たちもケガをした人もいませんでした。

                                                                                                里山 根子君 著

 

 

 

注意

※この物語はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

※掲載されている物語の著作権は作者にあります。作者以外の方のよる物語の引用を超     える無断転用は禁止しています。またそのような無断転用を行った場合は著作権法の違反となります。

 

出現「でえらんぼう」(2)

 この童話の次話を投稿いたします。小説家になろう」または「小説を読もう」というサイトにも投稿していましす。盗作を掲載していると思われてはいけないので、双方の作者が同一人物であることをご承知おきください。

 

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              「尻餅をついた大男」   

 

   宗一が大男に行き会ってから、二か月がたちました。山の木々は、すっかり赤や黄色に色づいて、とて

もきれいな季節です。

 

宗一は今日、あの大男に行き会った東の山にアケビやキノコを探しに来てみました。

 宗一は、大男からモロコシをもらったあの日から、あの大男に行き会いたくて、時々一人でこの東の山の林道に来ていたのです。

 

 宗一がいつも肩から下げている竹かごの中には、きれいな紫色のアケビがたくさん入っていました。

この日は、天気が良くて暖かい日でした。宗一は歩き疲れて、開けた林道の草の上で仰向けに空を眺めて寝そべりました。

 

 目をつぶると、ぽかぽかと暖かくて、しばらくうとうと眠ってしまいました。すると、ドシーン、ドシーンと、体を上下にゆするような地響きがしました。

 宗一はあわてて目を覚ますと、その地響きはもうすぐ近くで聞こえます。そして、急いで起き上がると、カラマツ林の上にあの大男の姿がありました。

 

宗一は、大喜びで両手を上げると、大男もニコッと笑って、宗一の近くに来て腰を下ろすと、ふところから温かいサツマイモを二つ手のひらに乗せて、宗一に「食べな」というように顎をしゃくった。

 

 宗一は、両手に一つずつサツマイモを受けとると、右手に持っていたサツマイモを一口ほおばった。中は黄色で甘くてホクホクの美味しいサツマイモでした。

 そして、サツマイモを大切にきれいな草の上に置くと、竹かごからいちばん大きなアケビを取り出して、大男にさしだした。

 

大男は首を少しかしげたと思うと、そのアケビを真ん中から二つに割って、中身をパクリと口に入れました。それはとてもおいしかったのか、大男はニコッと笑いました。

 宗一はまたサツマイモを食べ始めると、大男は宗一を抱き上げて大きな肩に乗せてくれました。

 

宗一を肩に乗せたまま大男は、立ち上がると富士山の方角を向いたのですが、大きな岩山があって富士山はここからは見えませんでした。

 大男は三歩、南に歩くとこの辺りで一番高い、ぼうず山のてっぺんに宗一を降ろして、さらに南に行ったかと思うと、富士山を隠していた大きな岩山を、右足で思いきり蹴飛ばしたのです。

 

 するとその岩山は、ゴロンと二回転して転がりました。そして大男は、その岩山を両手で高く持ち上げたのですが、それは意外と重くて大男はバランスをくずして、西に広がる草原に、思いっきり尻餅をついてしまいました。

 

 持ち上げていた岩山は、とっさに突き飛ばしたので、さらに西の深い沢にゴロゴロ転がって行きました。大男はゆっくり頭を上げると、心配していた宗一の方を向いて、大きな声をあげて「ワッハッハッハッハー」と笑いました。

 

 宗一はほっとして、ぼうず山てっぺんで尻餅をついてしまいました。大男は南を見ろというように、蹴飛ばした岩山のあった方角を指さしました。

 そして、その方角を見ると、宗一がカレンダーの写真でしか見たことのない富士山が、はるか遠くに見えていたのです。

 

 大男が尻餅をついたところは、やがて、きれいな水がたまって大きなヒョウタンのような形の池が出来て、魚やサンショウウオ、トンボに水鳥などたくさんの生き物が住み着くようになりました。

 宗一は東の山に来ると、必ずこのぼうず山のてっぺんに登って富士山をながめるのがとても楽しみでした。

                             里山 根子君  著                           

 

注意

※この物語はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

※掲載されている物語の著作権は作者にあります。作者以外の方のよる物語の引用を超     える無断転用は禁止しています。またそのような無断転用を行った場合は著作権法の違反となります。

出現「でえらんぼう」(1)

 全国に大男「でえらんぼう」の伝説はたくさんあります。ダイダラボッチ、デエラボッチ、ダイダラボウ呼び方も様々ですが、みな同じ大男を意味するようです。

 こちら佐久地方では、浅間山に住んでいたということですので、たくさんの言い伝えが残っているようです。

 

 東京湾から土を運んで浅間山を造っている途中、うっかりこぼしてしまった土が小浅間だそうです。

 自分が住んでいるこの地籍は、以前は「三ッ足」と呼んでいました。浅間山から蓼科山まで三歩で行ってみせると言って、三歩目の足が蓼科山に届かずに足をついてしまったところが自分が住んでいるこの地籍なんだそうです。悔し紛れによろけた大男は、四歩目の足が湿地にズブズブ入ってしまいました。ここは今でも「足っつぶ」と呼ばれる沼地があるということです。

 

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 佐久市千曲川に架かる橋で、上流から数えて11番目に「枇杷島橋」という橋がありますが、この橋の欄干には、旧浅科村出身の切り絵作家「柳沢京子」さんの「でえらんぼう」の民話と絵のレリーフが取り付けられています。

 

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「大男」「河童」「妖怪」と聞くと、いたずらばかりしている悪者というイメージ持つ方が少なくないと思いますが、自分の中の「でえらんぼう」力持ちで、おちょこちょいで、人の良い、見上げるような大男です。

 

 この童話も、「小説家になろう」または「小説を読もう」というサイトにも投稿していましす。盗作を掲載していると思われてはいけないので、双方の作者が同一人物であることをご承知おきください。

 

     「トウモロコシをくれた大男」

        

 

   まだ、小学校に通っていない宗一は、昭和のなかごろ山間小さな村で生まれました。

 お父さんとお母さんが、畑仕事をしている間は、牧草畑につながれている、家の子牛が遊び相手でした。

 そして、この地は遠い昔、「でえらんぼう」という大男の歩いた跡だという話を、宗一はお母さんから聞いていました。

 そういわれてみると、この地は、山の中でも比較的平地で、大きな足の形に見えるのです。

 

 食料以外にも、甘いものが尊い時代だったので、宗一と同じ世代の子供たちは、野イチゴやグミ、桑メドを見つけると、それは美味しいものに思えたものでした。

 宗一はいつものように、牧草畑で牛と遊んでいて、あまりにもポカポカと暖かい陽気だったので、横にになって反芻している牛のお腹を枕に眠ってしまうこともありました。

 

 そして、宗一は時々冒険もしました。

 それは以前、お母さんと一緒にキノコ採りに行った山道に行ってみたり、西の山の向こうにある池に行ってみることでした。

そして今日宗一は、まだ行ったことのない東の山にいってみることにしました。

 宗一牧草畑から、しばらくなだらかに上ると、こんどは長い下り坂になりました。

 その山道が、どっちに行っても見たことがない景色になって、宗一は、怖くなってそこにしゃがみこんで、泣き出してしまいました。

 

 すると、遥か遠くからドシーンと地響きがしました。

 しばらくすると、また、ドシーンと地響きがしました。

 今度は三回目、宗一の近くで地面が揺れるほど大きな地響きがして、四回目も同じ辺りで起こったのです。

 

 宗一は、地響きがした方角をしゃがみこんだまま、恐る恐る見てみると、東の山の方角に、太いすね毛の生えた何とも大きな二本の足があったのです。

 

 宗一は驚いて、尻餅をついて上を見上げると、とてつもない大男の姿がありました。

 髪の毛はボサボサで、口の周りから顎にかけては髭もじゃで、丈が膝まである、動物の毛皮のような物を左肩から掛け、腰の辺りを、太い縄のような物で巻いていました。

 

 宗一は、その男の大きさに腰を抜かすほど驚いたが、その大男の顔はどことなく間抜けで、愛嬌さえ感じるのでした。

 しばらくの間、その大男を眺めていた宗一は、お母さんが時々話してくれた伝説の大男でえらんぼうを思い出した。

 

 すると、大男は懐から何かを取り出して、前かがみになって、大きな手のひらにのせて、宗一の前に差し出したのです。

 宗一は、恐る恐るその手のひらを見ると、蒸したばかりのトウモロコシが二本載っていました。

 

 大男は、宗一に(食べな)と言うように、顎を突き出してニコッとしました。

 宗一は、膝をついて立ち上がって、大男の手のひらの上の、トウモロコシを両手で受け取ると、思いきりほおばった。

 そのトウモロコシは、甘くてモチモチでそれは美味しかった。

 

 宗一はあの山道で、大男からもらったトウモロコシが、頭から離れないので、あくる日、お父さんとお母さんに、トウモロコシを食べたいということを伝えました。

 すると翌日、お父さんは、街に買い物に行って、大豆とトウモロコシの種を交換して帰ると、早速、畑に播いてくれました。

 

 そして、八月になると、標高が高くて、寒暖差のあるこの地では、甘くて美味しいトウモロコシが実った。

 秋もまだ早いころ宗一は、また一人で東の牧草畑を通って、以前大男に行き会った林道に行ってみました。

 

 そして宗一は、少し開けた場所の草の上で、大の字になって休んでいると、ドシーン、ドシーンという地響きがした。

 宗一はとっさに、いつかトウモロコシをくれた、あの大男にちがいないと思った。

 

 大男は、山道の開けた草の上で、あおむけに寝ている宗一を見つけて、そーっと両手で抱き上げて、男の肩に乗せてくれました。

 宗一は、大男の耳元で「モロコシうまかった」とお礼を言うと、大男は大きな声で、「ワッハッハッハッハー」と笑うと、宗一も楽しくなって、「アハハハハ」と笑った。

                                                                                                           里山 根子君 著                                                                                           

 

 

注意

※この物語はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

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童話「怖い顔のリンゴ屋さん」

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                                                                                                             姨捨の棚田

   

  9月23日(秋分の日)昨年は新型コロナウイルスの感染予防の観点から、中止になてしまいました菩提寺の「施餓鬼法要」の日です。そして、法要の後そのままお墓参りをしていたのですが、娘の夏休みもあとわずかなので、お墓参りとお寺さんには先日出向いて、今日は娘と3人で築北村、聖高原、そして姨捨に行ってきました。安宮神社の修那羅の石仏群はとても表情豊かな石仏さんがたくさんおられました。

 

 そして、隣り合う麻績村とともに、とても長閑で良いところです。姨捨の棚田は初めてみましたが、素晴らしいの一言です。女房と娘は棚田ごとに立派な金属の杭に、塩ビの白いプレートがしっかり付いていて、その水田の所有者の名前がフルネームで書かれていたのを見てとてもガッカリしていました。

 

 稲穂が黄色に輝くと、リンゴにナシ、ブドウ、カキにプルーンなどの果物が実っているのを見かけると、不思議と幸せな気分になってきます。

 

 そして、この時期になると思い出す、少し怖かったけど大切な思い出があります。そんな自分の幼少期の思い出を童話にしてみました。

 小諸市に「耳取」という少々怖い響きの地名があります。実際には、佐久群 美理郷「みとり」が転訛して「みみとり」になったという説が有力なようです。

 

 東北地方から新潟県にかけても「耳取」という地名があるようです。実際に耳を切り取ったという話とか、耳塚などの伝説もあるようですが、多くはその地形から台地や山麓などの端「耳」という意味で、パンの耳や布の耳と同じく「耳」には「端」という意味があるようです。

 

 そして、毎年秋になると美味しいリンゴを売りに来る、行商のリンゴ屋さんがいました。たぶん、子供たちを少々からかってみようという大人が、面白半分に言ったことが、我々子供にとっては冗談では済まない恐怖になっていたのです。ところが、このリンゴ屋さんはとても優しいリンゴ屋さんでした。

 

 この童話は、「小説家になろう」または「小説を読もう」というサイトに投稿していましたが、あまりアクセス数も伸びないので、そちらのサイトから削除して自身のブログに掲載して、読者の皆さんに読んいただいて、楽しんでもらおうと思って質問したところ、こちらの投稿サイトから削除しなくても双方に掲載しておいてもかまいません。という回答をいただきました。但し、盗作を掲載していると思われてはいけないので、双方の作者が同一人物であることをご承知おきください。

 

 

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                         デッサン「リンゴ」小林 萌

 

 

 

    「怖い顔にリンゴ屋さん」

 

                                

   昭和の中頃、ある山間の山村で生まれた翔太は、小学校三年生です。食べるものもままならない時代でしたので、おもちゃなどありませんでしたが、翔太の家にはキジトラの猫に赤牛、アンゴラウサギにチャボがいて、みんな翔太の大事な友達でした。

 

 近くの森に行くと、カブトムシにクワガタ、セミやチョウもたくさんいて、翔太は、その昆虫たちを見つけるのも得意でした。

 

 おやつも決まってあるわけではないのですが、秋になると行商のリンゴ屋さんが来て、お母さんが時々リンゴを買ってくれました。そのリンゴは、真っ赤で蜜がたくさん入っていて、とても美味しいリンゴでした。

 

 しかし、そのリンゴ屋さんの顔といったら、ギョロッとした目で人を睨みつけ、顔は鬼ヶ島の赤鬼のように真っ赤でした。肩幅は広くて、足といったらがに股で、いつも怒っているように、のしのしと歩くのでした。

 

 リンゴ屋さんは、トラックで行商にきていたのですが、そのトラックは意外とかわいい黄緑色のダットサンでした。

 

 そして、子供たちの間では、このリンゴ屋さんに捕まると、耳を取られてしまうといううわさが広まっていたので、翔太たち子供は、このリンゴ屋さんの黄緑色のダットサンが来ると見つからないように家にかくれて、リンゴ屋さんが帰るのを息を殺して待っていたのでした。

 

 ある秋の日のことでした。翔太は、家の牛やウサギたちに餌をあげて、一人で遊んでいました。すると、家の裏の方角から車の音がしました。

 

そして、翔太の家の横を通っていったのですが、その車はあの見覚えのあるリンゴ屋さんの黄緑色のダットサンでした。

 翔太はその車を見たとたん手に持っていた草を放り出して、あわてて家の中に逃げ込みました。

 

 そして、そっとガラス戸から恐る恐る外を見ていると、あのリンゴ屋さんのダットサンは翔太の家を通り過ぎて、T字路を右に曲がったところでゆっくり止まりました。

 

 するとあのリンゴ屋さんは、車から降りてしゃがみ込んで車を見ていましたが、立ち上がるときょろきょろと家々を見回して、歩き出すと姿がみえなくなりました。

 

 翔太は緊張が解けて途端に眠くなって、そのままガラス戸にしがみつくように眠ってしまいました。

 しばらくすると、「こんにちは、誰かいないかい、こんにちは。」という声がすぐ近くで聞こえて、翔太は驚いて目を覚ましました。

 

 恐る恐るガラス戸から外を見ると、外に立っていたのは、あの怖い顔のリンゴ屋さんでした。翔太は飛び上がるほど驚いて、今日こそ耳を取られてしまうかもしれないと思って膝を抱えてガタガタ震えました。

 

 「こんにちは、こんにちは」リンゴ屋さんは、まだ外で声をかけて待っていましたが、翔太は意外と優しい声に驚きました。何となく困っているような気もしたので、翔太は恐る恐るガラス戸を開けました。

 

 リンゴ屋さんは、ほっとしたように「ああこんにちは、おじさんあそこで車がパンクして困っているんだけど、道具ないかい。」と翔太に聞きました。翔太は、息もできないほど怖かったのですが、目の前で見ると意外と小柄なおじさんだと思いました。

 

 翔太のお父さんは、パンクを直す道具を持っていて、近所の家の自転車やオートバイのパンクしたタイヤを直してあげていたのです。

 リンゴ屋さんは、車から離れたとき、パンクの修理のできる家を訪ねていたのかもしれないと、翔太は思いました。

 

 翔太は恐る恐る外に出て、庭を挟んで向かいにある小屋に行って、お父さんがいつも使っていたパンクの修理の道具の入った木の箱と、空気を入れるポンプを持って「お父さんは、いつもこれを使っています。」と言って、リンゴ屋さんに渡しました。

 

 リンゴ屋さんは「僕ありがとう」と言って、大切そうに道具を受け取って、自分の車に戻りました。翔太は最初足がふるえるほど怖かったのですが、今はそれほど怖いとは思っていませんでした。

 

 そして、一時間ほど過ぎたころリンゴ屋さんは、「僕、ありがとう本当に助かったよ。」と言って、道具の入った箱とポンプを返しに来てすぐに車に戻ると、大きい竹かごいっぱいのリンゴを持ってきて、「みんなで食べてね。ありがとうね。」と言って翔太に頭を下げて帰って行きました。

 

 お母さんが仕事から帰って、いただいたリンゴと今日のことを話すと、お母さんは「翔太、良いことしたね。あのリンゴ屋さんさっぱり怖くはないんだよ。」と言って、翔太を褒めてくれました。

 

 それからというものあのリンゴ屋さんが来て、お母さんがリンゴを買いに行くと翔太は大喜びで一緒について行きました。

                              里山 根子君 著

 

 

注意

※この物語はフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。

※掲載されている物語の著作権は作者にあります。作者以外の方のよる物語の引用を超     える無断転用は禁止しています。またそのような無断転用を行った場合は著作権法の違反となります。

 

死ぬまで山歩き(7)

 7月16日(金)関東甲信地方でも梅雨明けしました。去年より約2週間早く梅雨明けとなりました。

 梅雨明け後の1週間は夏山シーズンでは最高のコンディションです。太平洋高気圧の勢力が強くて、上空に寒気が入ることもなく夕立の心配もありません。案の定、毎日降っていた雨はピタリと降る気配もなく、今までぬかるんで困っていた畑は、今度はカチカチに乾いて地割れしています。

 待ちに待った梅雨明けなので、山に出かけたいと思うのですが、ここのところ残業続きで少し疲れ気味です。そんな訳でこの日は、ひたすらピークを目指すというのではなくて、この時期のチョウや花を見ながらゆくっり歩きたいと思いました。

 そして、行先は「池の平湿原」に決めました。ノハナショウブアカバシモツケソウ、ウツボグサ、クルマユリなどが咲いている光景を想像して行ったのですが、まだまだ時期が早かったようです。

 

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 朝晩はまだひんやりする日もあるので、これだけ高いと更にひんやりというより寒いくらいだと思います。それでも足元をよく見ると色々な花たちを見つけられます。

 こちらはシソのような、ハッカのような清涼な香りを持つイブキジャコウソウです。背が低いので踏みつけないように注意して歩きましょう。

 

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 下界ではすっかり時期が過ぎたアヤメが、こちらではまだたくさん咲いています。

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 コバイケイソウはあとわずかといったところでしょうか。
 

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 黄色い花のマルバダケブキもこれからといったところです。

 

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 カラマツソウはちょうどタイミングよく見ることができました。

 

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 ウスユキソウも一番きれいなときだったようです。それにしてもその名の通り峰が薄っすらと雪化粧したようなかわいい花です。

 

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 こちらはヤナギランでしょうか。やはり花はもう少し先のようです。

 

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 木道を2回目、右に曲がったところで南に視界が開けます。案内表示に「放開口」と書かれていました。佐久平方面に視界が開けます。

 

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 今日は、富士山も見えています。


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 八ヶ岳から北八の蓼科山までの中ほどの鞍部が麦草峠だと思いますが、その奥に見えているピークはどこでしょうか。方角的にはおそらく中央アルプスだと思いますが、空木岳木曽駒ケ岳あたりでしょうか。

 

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 木道を歩き始めてしばらくすると、ヒオドシチョウに行き会ったのですが、今日はハイカーたちが多いせいかなかなか容易には近づけなくて、残念ながら写真は撮れませんでした。

 

 結構な時間ここでの景色を眺めていると、鮮やかな黄色い蝶が視界に入りました。そして羽にはモンキチョウよりはっきりとした黒い縁どりが確認できます。「ミヤマモンキチョウ」です。2頭飛んでいるのを確認しましたが、やはりこちらも写真は撮れませんでした。

 

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 木道から三方ヶ峰に向かうとすぐ左手に、蕾をつけたクルマユリを一株見つけましたがもうすぐ咲きそうです。

 

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 こちらはちょうど見頃です。時期と色合いからしハクサンシャクナゲでしょうかね。

 

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 時々、ポツンと咲いているこちらはハクサンフウロですかね。アサマフウロは時期的にもう少し遅くて色も濃いと思います。

 

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 もう少しで三方が峰、足元を注意して見ると咲いていました。ウツボグサです。

ウツボグサ、タテヤマウツボグサ・・・。見分けが難しいですが、葉の大きさや花の大きさ、紫色の濃淡からウツボグサだと思います。

 

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 三方ヶ峰に着くと上田方面にも視界が開けます。

 

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 ここはコマクサが手厚く保護されていますので、時期を外さなければかわいい花を見ることができます。遥か前の話ですが、北アルプス蓮華岳針ノ木岳でもたくさんのコマクサを見ました。針ノ木岳付近では白い花の株も見ることが出来ました。

 

 泊まった針ノ木小屋はもちろん有名な百瀬慎太郎が開いた山小屋ですが、泊まらせていただいた日、ご主人に「百瀬慎太郎さんの血筋の方ですか」と尋ねたところ、「はい、孫にあたります」と聞いて大変驚きました。「今日はすごいお方に行き会いました。」と言うと、「全然すごくはないんですが」と謙遜しておられました。

 

 久しぶりに有名な句を思い出しました。

      「山を想えば人恋し 人を想えば山恋し」 百瀬慎太郎

 

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 こちらはもうじき咲きそうですが、ミヤマアキノキリンソウだと思います。

 

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  ニンジンのような葉が特徴的なので、花が咲いていなくても見つけやすいですが真ん中の蕾はしっかり膨らんで来る時期に準備をしています。こちらはマツムシソウです。もうすぐ淡い薄紫の花が見られると思います。

 

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 まだお昼には早いしこれからどっちに行こうか?見晴岳方面は樹林帯に入ってしまうので、蝶に行き会う確率はかなり低くなると思います。湿原に戻って木道を一周したところでお昼にしようと思ったのですが、反対方向から来た体格の良い若い男の子が立派な望遠レンズの付いた一眼レフを下げて近づいて来ました。

 すると突然、何の気兼ねもなく「すぐそこにチドリが咲いていました」と言って、カメラの液晶画面を見せてくれたのですが、流石に裸眼では何が何だかさっぱりわからないので、「ハクサンチドリですか?テガタチドリですか」と聞きながらリュックからメガネを取り出して見せていただきました。花弁の形と色合いから判断して「テガタチドリですかね」と答えしました。

 蝶の話をしてみると「ミヤマモンキチョウ」や「ヒオドシチョウ」も見つけたということでした。この見事な望遠レンズを拝見すると、何枚かきれいな画像が納められていることだと思います。それにしても、こんな若い人たちと蝶や花の話が通じたことが嬉しく思いました。

 そしてこの後、ミヤマシロチョウを撮りに湯ノ丸方面に向かうということでした。

 自分もまだ時間も早いので、ハナアブと遊びながらゆっくりお昼をいただいて、湯ノ丸の臼窪湿原に行くことにしました。

 

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 駐車場に下る石段の脇にテガタチドリが咲いていました。葉が全部途中から切れていますが、これはどうしたのでしょう。何かに食べられてしっまったのでしょうか?

 

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 湯ノ丸に向かう道すがら、林道脇にヤマオダマキが所々きれいに咲いていました。カラマツソウにオダマキの仲間は共にキンポウゲ科だということですが、あの黄色い梅の花のような形をした花とはほど遠いように思いますが、葉の形は僅かに共通点があるように思います。

 

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 スキー場の開けてところから、先月登った湯ノ丸がきれいに見えました。

 

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 臼窪湿原手前のキャンプ場の草地にはかわいいウツボグサが盛りでした。池の平湿原では咲き始めでしたが、わずかの標高差で花の時期がかなり違うようです。

 

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 臼窪湿原ではアヤメが真っ盛りでした。どちらの湿原も一週間と言えづ次々と色々な花が咲き始めると思います。これだけたくさんの山野草高山植物が日を追うごとに見られる場所は貴重です。自分たち一人一人が環境を大切にして後世に末永く残してあげたい大切な遺産と言えるような気がします。

 

 そして、遅ればせながらこの記事を作成している今日は、一緒に登りたいという職場のお仲間も増えて山行の筈でしたが、台風10号が近づいていますので相談の結果、急遽中止にしました。天気が下り坂という予報を知って、強行して何かあってからでは遅いので、正しい判断だったと思います。おかげで午前中は気になっていた畑の草を片付けることも出来ました。また次回を楽しみに皆さんで計画を立てましょう。


 

お酒の話(8)

 東京都はまたもや新型コロナウイルスの感染者数が連日500人を超えています。そして更に感染力が2倍近いとも言われている「デルタ株」による感染者も急増している状況です。「緊急事態宣言」が解除されたからと言っても、外食産業は厳しい経営状況を強いられていてとてもお気の毒に思います。

 

 話は変わりますが、最近若い方達の間でGINが人気のようです。国内の酒蔵でも色々なハーブを使ってGINを造っている蔵元があるようです。酒米そのものにも変化があって、冷涼な気候で生産される酒米は温暖化の影響で本州よりも、北海道で多く生産されるようになっているようです。それに伴って北海道には11あった酒蔵が今では16に増えているようです。

 

 今年もゴールデンウィーク前から毎年一緒に山菜取りに行く友達から連絡をいただきました。自分もここのところ一人で出かけることも減ってきたのですが、山菜取りは好きなので連絡をもらうととてもうれしい。しかもいつも美味しいお土産まで持ってきてくれて申し訳なく思います。

 そのお土産とは、宮城県の株式会社 一ノ蔵さんの「 一ノ蔵」無鑑査 本醸造 辛口です。精米歩合65% アルコール分15度 辛口とありますが美味しい湧き水をいただいているような喉ごしで、後味はやさしい甘さを感じます。飲み飽きない美味しいお酒です。

 

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  新潟県と言えば米どころて魚も美味しくて、何よりも美味しいお酒がたくさんあるという印象があります。全国的にも知られた銘柄がたくさんありますが、自分がまず思い浮かべる銘柄は鮎正宗酒造株式会社さんの正に「鮎正宗」です。上信越自動車道上越JCT北陸自動車道と繋がるはるか前は夏、海に行くとき国道18号線は決まって渋滞しますので、飯山市から新井につながる峠道を使いました。その途中にある酒蔵さんですが、信濃毎日新聞の記事で拝見したことがあります。こちらの社長さんが紹介されていたのですが、とにかく自分で飲んで美味しいお酒を造りたいというのが根底の理念だったということです。またこの道沿いが大好きで以前、「Discover Japan」なんていう言葉があったように思いますが、日本を再発見したような長閑なところでた。

 

 銘柄に動物や植物の名前が使われているお酒にも親しみを感じます。どちらかというとやや甘口でしょうか、後味はすっきりとした辛さを含んでいると思います。酒蔵さんのある風景と鮎の泳ぐ夏の清流を思い浮かべながら静かにいただきたい気がします。

 娘を富山に送って行った帰りに、新井のハイウエーオアシスで買ってもらいました。寂しいから今夜は大好きなこのお酒をいただきます。

 

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 佐久平のイオンで見つけた松本市島立の、大信州酒造株式会社さんの洗練純米「大信州精米歩合70% アルコール分15.5度 ほのかな果実臭とともにほんのりと穀物の香りも感じます。一口いただく・・・、すっきり辛口、そして熟成された美味しささに、後味はほのかな甘味と広がりを感じるお酒です。

 

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 ここのところトリスクラッシックと宝焼酎にハマっていますが、美味しいお刺身や山菜があると美味しい日本酒をいただきたくなります。こちらは純米原酒「深山桜」精米歩合65% アルコール分17度 熟成感と深みのある飲み口です。どちらかというとやや辛口でしょうか。

 

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 コブシの花の香りが春風にのってきたような、ひかえめですが華やかな香りです。最初の一口はやや辛口に感じます。喉を通るときはやさしい甘さを感じます。後味は再び

やや辛口だと思います。とても味わい深い春にいただきたいお酒と言えます。

 伴野酒造株式会社さんの澤の花 辛口純米「花ごころ」精米歩合麹米60%

掛米65% アルコール分15度 長野県産米ひとごこち100%使用 ラベルも春らしくていいですね。

 

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 娘と女房が富山に行った帰りにお土産に買ってきてくれました。富山県 福鶴酒造株式会社さんの本醸造 生原酒 「風の盆」精米歩合65% アルコール分20度もったいなくて何か特別な日にいただこうと思ってずっと冷蔵庫に仕舞っておきました。

 ゴールデンウィークに子供たちが帰った晩にいただきました。香りは熟成感を感じる爽やかな酸味のある果実臭が華やかにひろがる感じがしました。

 甘味、酸味、コクのある旨味のバランスが最高です。季節の海の幸、山の幸といただきたい一品です。

 

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 佐久市千曲錦株式会社さんの「千曲錦」 寒仕込み純米 精米歩合65% アルコール分15度 香りはほのかでやさしい香りです。やわらかい甘さと酸味が美味しい。春の山菜といただきたいお酒です。

 

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 戸塚酒造株式会社さんの氷雪貯蔵「寒竹」特別純米酒です。精米歩合59% アルコール分18度 度数は少々高いのですがほんのり辛口だと思いますが、後味の甘みとわずかな苦みがまた美味しく感じます。そして、包装用紙がきれいです。

 標高2000mたぶん浅間山麓の何れかに冬期間貯蔵されたことと思われます。

 

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 今年は、春先美味しそうなニシンのお刺身をよく見かけたので、珍しいから見かける度にいただきたくて買ってもらったのですが、そのお刺身がまたとても新鮮で美味しかったのです。カツオのお刺身とともに大好きな魚です。歳とともにあまり飲みすぎないように美味しいお酒を楽しくいただきたいと思います。

死ぬまで山歩き(6)

 

 

 先日、おかしな姿勢で重いものを持ち上げて、久しぶりに腰を痛くしてしまいました。そういえば最近、明らかに運動不足です。(後日、畑仕事をしてもっと腰を痛めて、月曜日会社を休むことになるとは全く予想もしていませんでした)昨日は雨降りで畑には入れないし、女房は友達と会う約束をしているので、自分も今年最初の山行に出かけることにしました。

 

 木曜日、いつも一緒に登っている友達に連絡をとって、また明日、家に帰ってから場所とか時間を決めましょうということで楽しみにしていました。ところがどうやら自分は土曜日と言ったつもりでいたのですが、先方は日曜日だと理解していました。自分もここのところ忙しくて言い間違えていたのかも知れません。そんな話の食い違いで今回はなかったことにして、次回また一緒に登りましょうということで、今日はせっかく準備して来たので一人で登ることにしましたが、このブログを読んでいただいたら、日付と曜日は何回か念を押して正確に伝えることにします。大変、申し訳ありませんでした。

 

 そして今日は息子が中2の時、八ヶ岳登山に買ってあげた登山靴を履いて登りました。ちょうど今の自分の靴と同じサイズです。息子の靴は既に28センチになっているのでこの靴は26センチだから、いただいて交互に使ってみることにしました。靴底は案外硬くて楽でした。

 

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 駐車場はけっこう登山者が多かったのですが、湯ノ丸キャンプ場方面に向かうと全く人影がありませんでした。それでも昨日の雨で山グツの跡はありましたので登っている人もいるようです。

 

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 この高原で有名なレンゲツツジはまだ蕾です。

 

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 こちらは湯ノ丸キャンプ場の中を進みます。キャンパーたちの姿はありませんでしたが、帰りには何組かのグループが野営の準備をしていました。

 

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 中学の時学校のキャンプでここでテント泊をして、次の日、湯ノ丸に登ったのですが天気が悪くて何も見えなかったのを思い出しました。子供たちもよく言いますが、学校で集団で登る登山は決して楽しくないと言います。自分も同じころ登山なんて全く楽しいとは思っていませんでした。

 

 けれどもここに来たとき、蓼科山の高原と同じ大好きな臭いがしたのを覚えています。今日それは感じませんでしたが、時期的なものがあるのでしょうか?確かにもっと暑くて花の多い時期だと思います。

 

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 木道のある臼窪湿原です。もう少しすると浅間山麓の山野草が競うように咲いてそれは見事なのですが、この時期はまだ花の姿はありませんでした。

 

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 登り始めると右手に、鮮やかな赤紫のツツジがきれいに咲いていました。ムラサキヤシオツツジでしょうか?葉の形からするとミツバツツジの仲間とは違うようです。

 

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 雨上がりなので、こんなキノコもみつけました。ムキタケの仲間だと思いますが、さて何やら?

 

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 分岐まで来ましたが、さてどっちのコース行こうか?去年の6月10日頃、熊の目撃例あって「熊出没注意」という看板があったので少し怯みました。そういえば自分の家の八ヶ岳山麓よりも、浅間山麓一帯は個体数がはるかに多いということですから注意しましょう。

 

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 カラマツの間に美味しそうなコシアブラを見つけました。今日は山菜取りに来たのではないので、写真だけ撮って先に進みます。

 

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 「遭難防止の鐘」のある分岐まで来ました。広くて気持ちの良いところです。一休みしていると初めて登ってくる登山者に行き会いました。若くて元気ハツラツの山ガール2人連れでした。何をやっても楽しそうでいいですね。挨拶してもらっただけで元気を分けてもらったような気になりました。ここからは上りもきつくなるので頑張りましょう。

 

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 途中、南に視界が開けると富士山に八ヶ岳山麓が確認できました。最も南の主峰、赤岳から北八ツの最高峰、蓼科山まで全部見えています。但し富士山は小さく見えていますので、スマホの画像ではちょっと厳しいかも知れません。

 

 

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  ツリガネニンジンです。「山で美味いは、オケラにトトキ」のトトキですが確かにてんぷらが美味しいと思います。但し、ここは国有林なのでやはり写真だけ撮っておくことにしましょう。

 

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 こちらはオオバギボウシでしょうか。まだまだ花は先のようです。
 

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  光沢のある葉がロゼット状に並んでいてきれいです。ノギランでしょうか。こちらも花はもう少し先のようです。

 

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 ついささっき、支度をして登り始めた駐車場にスキー場が眼下に見えました。、

 

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 コケモモの群落です。艶のある小判型の葉がかわいいですね。

 

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  イワカガミはかわいいピンクの花が見頃です。

 

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  ミニ盆栽のようなコメツガがかわいいですね。

 

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 コケモモの上の小さな風鈴のような花はコヨウラクツツジでしょうか。

 

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  後ろを振り返ると東の奥に恥ずかしがっていた浅間山が顔を出してくれました。

 湯ノ丸スキー場も眼下に見えます。

 

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 クロマメノキは芽吹き始めたところです。この辺りではアサマブドウの方が通じるかも知れません。

 

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 群馬県 嬬恋村方面です。田代湖が見えました。

 

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  山頂が見えてきました。頂上はけっこう賑やかそうです。

 

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 頂上の大パノラマを見て疲れが吹っ飛びました。360度見渡す限りと言いたいところですが、自分の好きな奥秩父の山塊は残念ながら雲に隠れていました、

 

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 中ほどに富士山が見えますが、スマホの写真なので少々きびしいですかね。

 

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 北八ツの右奥には中央アルプス、御嶽、乗鞍、そして穂高の峰々から後ろ立山と続きます。

 

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 目の前の烏帽子岳の上に槍が小さく見えています。

 

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 北にはノコギリの歯のような戸隠から妙高まで、個性的な北信五岳も確認できます。その下は菅平高原、白いマルチがたくさん敷いてあります。美味しいレタスの畑ですかね。

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 後から来た素敵なご夫婦に頂上で写真を撮っていただきました。最近自分の写真など撮った覚えがないので、今日は遠慮しないで撮っていただきました。

 思う存分、頂上のパノラマを満喫してゆっくりお昼をいただいて、それでも名残り惜しいけれども下ることにしました。帰りは別ルートで烏帽子を見ながら下るルート(熊出没注意の看板のあったほうです)にしてみました。上りとは違った景色が見れて楽しかったです。芽吹いたばかりのナナカマドがきれいです。

 

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  光沢のある丸い葉はマルバダケブキでしょうか。

 

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 オオカメノキの花は今が見頃でした。

 

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 烏帽子と湯の丸の分岐まで下りました。けっこう膝に来ています。石の椅子は永年使えていいですね。

 

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 しばらくはとても歩きやすい道でした。クマザサの花が咲くところでした。60年に一度とも言われていますが、一帯のクマザサが全部地下茎でつながっているわけではないので、毎年何処彼処でけっこう見かけます。

 

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 カラマツの新緑もきれいです。

 

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 鶴が羽を広げたような形の葉のその名もマイヅルソウ

 

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 こちらも花はまだですが、ヤマハハコでしょうか。

 

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 今日も無事下山してきました。登山口の地蔵峠には東御市 新張の信号から旧鹿沢温泉までの道すがら、百体ある観音様の八十番目の十一面観音様が旅人の安全を見守ってくれています。まずは十一面観音様とお地蔵さまに合掌して、無事下山出来たお礼をしました。

 

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 こちらが東御市 新張の交差点に建立されております。百体観音様の第一番観音 「如意輪観音」様です。ここから旧鹿沢温泉まで江戸時代末期に、10年をかけて建立されたということです。「聖観音」「千手観音」「十一面観音」「如意輪観音」「准胝観音」「馬頭観音」の六観音様が百体、旅人や湯治に行く人々を見守って下さっています。

 古きを訪ね百体の観音様に合掌しながら、旧鹿沢温泉まで歩いてみるのも楽しいかなと思います。そして今日は雨上がりで天気も良くて、足慣らしには最高の山行でした。