satoyamanekokunのブログ

猫たち、お酒、山に虫、神社仏閣、全くまとまりのないブログですいません。

死ぬまで山歩き(5)

 11月せっかくの三連休なのですが、案の定GoToキャンペーンの影響で新型コロナウイルスの感染者が急増してしまいました。そもそも泊りで旅行に出かける余裕もなければ、人の多い観光地に行くのも怖いので、せめて一日くらいは山歩きでもしたいと思いました。

 早速、いつも一緒に登っている友達と,前回お誘いしたもう一人の方を誘ってみました。みんなの都合のいい日と登りたい場所が決まりました。さて、前回のような見切り発車は結果的には楽しかったとしても、あまり関心はできない行動だと言えます。今回は下調べを入念にしておきたいと思いました。

 目的地は、美ヶ原に決まりました。いまのように車で行かれるようになって久しいですが、そのまたはるか前は歩いて登るしか方法はありませんでした。そこで古きを訪ね、その時代の登山道を歩いて登ってみるのが楽しいのではと思いました。旧武石村にある焼山沢登山口からアプローチしたかったのですが、武石観光協会に電話をして確認したところ、去年の台風19号の影響で登山道は現在通行止めになっているとのことでした。

 空かさず後日、長和町観光協会に電話をしてみました。扉峠からの登山道は問題ないということでした。但し、「必ずコンパスを持って行って下さい」と言われました。確かにいつもリュックの中には忍ばせていますが、あまり使ったことはありませんでした。

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 旧中山道の和田宿を過ぎて、しばらく走って国道142号線から、県道67号線に入りました。こちらは先日行った、大弛峠とは違って全面舗装されていましたが、今日もまた自分たち以外に車の通った気配はありませんでした。もちろんすれ違う車の姿すらありませんでした。しばらく進むと、やはり頑丈そうな遮断機がありましたので、冬期間は閉ざされてしまうのだと思います。

 またもや、冒険染みた気になってきてしまいました。自分一人だったら心細くなって引き返して別の山に登っていたかも知れませんが、今日は三人いるし、既に一人の友達は楽しくて仕方がないようすでしたから、そのまま車を走らせるとビーナスラインに出ました。左折してしばらく進むと、扉峠の駐車場に出ました。車は20台ほど止められるようです。峠にはドライブインがありましたが既に営業はしていませんでした。駐車場にトイレがありましたので、トイレを借りて支度をしました。

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 こちらが登山口ですが、あまり人が分け入った形跡はありませんでした。いきなり急坂になりますが、いつもの通り体が温まってくると楽になります。はるか南に蓼科山も見えました。

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 急坂を過ぎると、開けた草原の中を進みます。この辺りから足元を見ると、もちろん花は咲いていませんが、ウツボグサがたくさんありました。初夏に訪れるとあのかわいい紫の花がたくさん見られると思います。

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 ところどころ大きな石に針葉樹の中をすすみますが、足元にはかわいいマツボックリが落ちています。エゾマツ?トウヒ?・・・。たぶんトウヒだと思います。

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 ばったりカモシカに行き会いましたが、しばらくお見合いしていたらなんと更に近づいてきてくれました。

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 茶臼山山頂が見えてきました。

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 なだらかに登って茶臼山に到着しました。

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 三角点と思われる杭が3本ありますが、いちばん手前の「国土地理院」と入っているものが正確な位置でしょうか。

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 ゆっくり茶臼山頂上を満喫して先に進みます。

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 はるか前方に王ヶ頭が見えてきました。右手には「美ヶ原高原美術館」のオブジェも見えますが、このきれいな高原には何とも不釣り合いな建造物に見えるのは自分だけでしょうか。

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 けっこうガレ場と要塞のような巨石群もありました。

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 すれ違った方と話をしたら、たぶんこの辺りのことでしょうか、「とても風が強いので気お付けて下さい」と教えていただきました。

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 松本平から障害物もなく吹き上げてくる風は、たしかにすさまじい勢いですが足元を見ると、あのかわいいコケモモの紅葉した葉がまだ残っていました。

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 この辺りに来たときは風もなく、陽だまりで風で冷えた体を温めてもらいました。

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 このまま好天が続いてくれることを祈ったのですが、残念ながらこの後は曇りがちで風が強くなってしまいました。

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 「塩くれ場」手前のトイレは閉鎖されていましたが、扉にはかわいい牛の顔がありました。

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 「塩くれ場」のいちばん手前の碑が、古そうで何故か気になって三人で確認しました。「遭難記念指導票」と書かれていて、「昭和4年9月18日この地に遠足で訪れ遭難して亡くなられた」というような内容のようです。「松本第二中学校校友会」という文字も確認できます。楽しいはずの遠足で何があったのか知る由もありませんが、何とも悲しい出来事です。誰からということもなく膝まづいて、三人で石碑に向かって目を閉じて合掌しました。

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 「塩くれ場」には、色々な碑があります。

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 すっかり陽は隠れてしまいましたが、「美しの塔」に向かいました。

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 帰り右手に松本平の見えるこの辺りは、立って歩くのもやっとのような強風が吹いていました。

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 その代わり茶臼山の頂上は天気が良くて、さっきの風が嘘のようにおだやかでした。雲の切れ間からは諏訪湖も見えました。

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 コメツガの木にサルノコシカケを見つけました。

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 今日も無事、登山口に戻ってくることができました。帰りはまだ時間に余裕もあったので、中山道「和田宿」に寄ってみました。その昔旅人たちはここに宿をとって、和田峠を越えて下諏訪の街に向かったのでしょうか。

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 立派な鐘つき堂のある禅寺 信定寺にもお邪魔してみました。

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 扉峠という峠が松本に向かう峠だということを、この歳になって初めて知りました。それにしても「峠」というところは、ここを超えるとどんな景色が、また、どんな街があるのだろうと思いを馳せる、何とも魅力的な場所のような気がします。次回は、登山道が復旧してくれることを願って是非とも、焼山沢登山口からアプローチしたいと思います。