出現「でえらんぼう」(4)

 

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 三石 勝五郎氏 作詞「岸野の歌」という歌がありますが、その4番がこの開拓地のことを唄っています。その中に「デーラン踏みし三ツ足や」とありますが、この「三ツ足」というのがこの開拓地の古い地名で、「デーラン」は伝説の大男「でーらんぼう」のことです。「三ツ足」は三歩目に足をついた場所という意味です。

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 ただ、自分はこの曲をまだ聞いたことがありません。「岸野の歌」の他に「岸野音頭」という歌もあって、こちらは岸野地区体育祭の最後に参加者全員で踊ることになっているので、岸野で知らない人はいないと思います。

 

 この童話の次話を投稿いたします。小説家になろう」または「小説を読もう」というサイトにも投稿していましす。盗作を掲載していると思われてはいけないので、双方の作者が同一人物であることをご承知おきください。

 

               「クマと大男」

 

 おばあちゃんのお葬式の日に「クマ」がきた。「クマ」というのは、こげ茶色でくせっ毛でカラフト犬に似た雑種の犬です。

 宗一のお母さんは、おばあちゃんが元気なころ、おばあちゃんの家に行くと、「母さん」「母さん」と言って楽しそうに話をしていました。


 おばあちゃんは宗一のことが大好きで、お母さんと遊びに行くとお菓子やおこづかいをもらっては、「おおきくなったな」と言ってはやさしく頭をなでてくれました。


 おばあちゃんのお葬式の日は、12月の雪がちらつく寒い日でした。大人たちは一日忙しそうでした。宗一たち子供は、庭のかまどで火の番をしていました。夕方どこかの親戚から、子犬が2匹つれてこられました。
 2匹の子犬はうれしそうにしっぽをふって、宗一たちにすり寄っていました。宗一もうれしくてたまりませんでした。


 1匹はどこかの親戚にもらわれて行って、もう1匹は宗一の家にもらわれてきて、さっそく宗一が「クマ」と名づけたのです。


 宗一が出かけるときは、いつもクマは一緒についてきます。クマが気持ちよさそうに寝ているときは、宗一は起こさないようにそっとしておいてあげるのですが、しばらくすると遅れを取ったとばかりにものすごい勢いで宗一を追いかけて来ました。


  そして、思い切りふくらはぎに体当たりして、そのまままっすぐ走って行って、ピタリと横を向いて止まると、少し上を向いて得意そうな顔をしています。
  宗一は、その様子がおかしくて、クマの傍に行くとお腹に抱きつきました。


  9月も終わろうとしている、日曜日の朝のことでした。宗一は自転車に乗れるようになって、この日も朝ごはんの前に自転車に乗ろうと早起きしたのです。
  すると、いつもおおよろこびでかけ寄ってくるクマがいませんでした。
  宗一は、大きな声で「クマ」「クマ」と何度も呼びましたが、クマの姿はありません。


  霧の濃い朝でした。宗一は急いで自転車にまたがると、まだ慣れない乗り方で必死にペダルをこいで、村の上に向かって進んで行きました。
 石がゴロゴロした道は、のぼり坂で宗一は何度も転びましたが、「クマ」「クマ」と呼びながら必死で自転車をこぎました。


 村のいちばん上の家が過ぎてもまだクマは見あたりません。
 それでも宗一は、「クマ」「クマ」と呼びながら自転車をこぎ続けました。
 村をすぎてだいぶ上った辺りで、道は二股に分かれています。道と道の間に大きな松の木が一本あって、その松の木の横にはお地蔵さんがありました。


 宗一が左の道の先を見ると、濃い霧の中に黒いかたまりをみつけました。
 宗一は思いきり大きな声で「クマ」と呼ぶと、黒いかたまりはものすごいいきおいで宗一の方に向かってきました。


 そして、思いっきり宗一に抱きついてきたので、宗一は尻餅をついて後ろに転ぶと、宗一は顔をペロペロなめられました。
 黒いかたまりはクマでした。宗一はクマを抱いて起き上がり「クマだいじょうぶかい」と言って、思いっきりクマのお腹に抱きつきました。


 クマは朝起きて遊んでいて、霧が濃くなって方向が分からなくなってしまったのです。
 しばらくすると霧が晴れて、暖かい朝日があたりました。宗一は安心すると、お腹が「グー」となりました。
 必死で自転車をこいで、はるか村のはずれまで来て、宗一もクマもお腹がペコペコでした。


 宗一とクマは、疲れてお地蔵さんの横の草の上で寝転んでしまいました。
 宗一は寝転ぶと同時に眠ってしまうと、亡くなったおばあちゃんの夢を見ていました。おばあちゃんは、たくさんの親戚の人たちに囲まれて、お茶を飲みながら美味しそうにおはぎを食べている夢です。おばあちゃんはとても楽しそうにニコニコ話をしていました。


 宗一の寝顔もニコニコしていました。すっかり夢の中にいると遠くで、「ドシーン」という地響きがしました。しばらくするとまた、「ドシーン」という地響きがして宗一は目を覚ましました。
 北の方角からまた、「ドシーン」という地響きが近づいて来ました。
 クマも耳をピーンと立てて、北の方を睨んでいました。宗一は立ち上がって、北のカラマツの林の上を見ると、あの大男の姿がありました。


 大男がさらに近づくと、クマは宗一の前に出て「ウー」とうなっています。
 「クマだめ」と宗一が言うと、クマは「キュンキュン」と鳴きながら宗一の後ろに回りました。
 宗一は、おおよろこびで両手を上げて大男を見上げると、大男はさらに一歩近づくと、新聞紙に包んだものを宗一に渡しました。


 宗一が受けとると温かいものが入っていて、新聞紙を広げると美味しそうなジャガイモでした。
 宗一がひとつ割って食べてみると、ホクホクでしっとりした美味しいジャガイモでした。宗一はそのジャガイモを、きれいな草の上に3つ置いてやると、クマも美味しそうにほおばっていました。


 クマもお腹がいっぱいになって安心すると、大男の周りを「ワンワン」と鳴きながら走り回りました。
 宗一が大男を見上げて「ありがとう」と言うと、大男は宗一を抱き上げて、「ワッハッハッハー」と思いっきり大声で笑いました。
 

 

注意

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